食肉加工業界で脂肪を赤身肉に注入し霜降りにするインジェクションとともに重宝されているのが、酵素「トランスグルタミナーゼ」である。この酵素には、タンパク質とタンパク質をつなぎ合わせる結着効果がある。
食肉業者が処理に困るのが、肉塊からトリミングで取り除かれた肉片。この肉を集めて、トランスグルタミナーゼを混ぜれば、冷蔵庫の中でサイコロステーキ用のブロックに早変わりする。
豚肉の切り落としを集めて、1枚のとんかつ用肉にする時にも使われている。
2年前、成形肉を使った激安ステーキハウスでO-157が集団発生したように、成形肉には安全性に不安も残る。だが、どんなクズ肉も再利用できるので、「魔法の酵素」として引っ張りだこだ。
※週刊ポスト2011年5月27日号