16日、胃がんのため東京都内の病院で亡くなったタレントの児玉清氏。『パネルクイズアタック25』(朝日放送)の司会者を36年間の長期にわたって続けたことで知られる。児玉氏は紳士然とした風貌だが、自身の性格を「頑固で負けず嫌い」と分析する。その頑なさが、逆に「曖昧な」芸能界を生き抜いてこられた秘訣かもしれない。アタック25を長年続けられたことについて児玉氏はいう。(週刊ポスト2007年6月15日号より)
「長く続けてこられた理由をよく聞かれるけれど、それはひとつ、一回もちゃんと司会できたことがないのが悔しいからですよ」
ただの一度も、納得したことはない。
「回答者は毎回変わるし、お互い競い合って、赤が青を逆転するかみたいな展開になっても、最後の最後にそれまで黙っていた白がプシューと押して、『あああ……正解です』で終っちゃうんだよね(笑)。ちっとも私が頭の中に描いたような展開にならないんだ」
回答の時間切れのブザーは児玉が押すが、あるとき、妻からこんな注意を受けた。
「あなた、自分が勝たせたいと思う回答者のときはブザーを押すのが0.何秒か遅いわよ」
いわれてみれば、思い当たる節もある。
「応援に来ているご家庭の雰囲気とか良かったりすると、ついつい、ねェ。え? 好みのタイプの女性にもあまい? 若いときはそれもあったかもねェ。意図的でなく自然にやってしまっていたことを家内に衝かれて愕然としたものです」