東京電力が積極的に推進してきた「オール電化」を実現する環境配慮型商品、エコキュートが部品不足に悩まされている。
エコキュートの心臓部、ヒートポンプ内の圧力を調整する部品のシェア8~9割を握るダンレイ社の主力工場が福島第一原発付近の楢葉町にあり、地震や津波の被害は免れたが、操業停止に追い込まれている。他工場でのフル稼働で現在は供給を回復しているが、他部品にも調達の不安がある。
減圧弁に使うゴム部品を供給する藤倉ゴム工業の工場が南相馬市にあり、生産能力が格段に落ちている。ダイキン工業やコロナなどエコキュートの主要メーカーは受注制限状態だという。
もはや「オール電化」は電力不足で風前の灯火だが、エコキュートが原発事故で窮地に陥るとは皮肉である。
※週刊ポスト2011年5月27日号