夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回の報告は、飲料メーカー勤務のご主人(50歳)。奥様(46歳)と車で渓流釣りに出かけたときのトホホ話です。
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渓流釣りが趣味の同僚がいて、これまで何回か同行して、かなりハマってしまいました。妻にも釣りの醍醐味を体験させたくて、「ヤマメやイワナを釣って、その場で串に刺して塩焼きにして食べる。これが最高なんだ」と話すと、「私も行きた~い!」と大乗り気。
早速、次の休みの日、妻と車で渓流釣りに。何匹も釣って、妻の「すご~い!」という声を聞きたかったのに、この日は全く釣れません。「少し休んで、昼飯にしよう」というと、「お昼? 用意してこなかったわよ。だって、魚を塩焼きにして食べるから必要ないと思って。ふりかける塩しか持ってきてないわよ」だって。
思わず「バカか、お前は!」と怒鳴ると、「何よ! 同僚と一緒の時は釣れるというのに、私と一緒だとゼロ。もっと真剣に釣ってよ!」と応戦。「オレは真剣だよ!」と返すと、「じゃあ、なんで釣れないの? 分かった! 私に食べさせたくないのね!」。妻のこういう論理の飛躍にはいつも付いていけません。
しょうがないので、「釣るよ! 見てろ!」と、再び釣り竿をたれましたが、収穫はゼロ。帰りの車中では、妻が「アナタとなんか結婚するんじゃなかった」と捨てゼリフ。「今まで21年間、我慢してきたんだ。我慢だ、我慢」と、自分自身にいい聞かせる僕でした。
※週刊ポスト2011年5月27日号