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多感な時期にテロ経験した米国人 ビンラディン殺害で“解放”

9.11テロから10年が経った今年、テロの首謀者とされるオサマ・ビンラディン容疑者を米軍が殺害した。オバマ大統領は「正義は遂行された」と誇らしげに語り、アメリカ国民たちは「USA!」と歓喜に沸いた――

首都・ワシントンから発信するウェブニュースで全米に読者を持つ女性ジャーナリスト、コートニー・メッシャーシュミットさんは興奮を抑えられない様子で自らのコラムにこう書いている。

「ビンラディンが死んだと聞いて飛び上がって喜んだわ。これは私たちにとってすばらしいモラル・ビクトリー(モラルの勝利)。善は悪に打ち勝つことを証明してくれたのよ。アメリカ合衆国は本当にマジカル・ネーション(すべてを可能にする魔法の国)だわ」

コートニーさんは11才で9.11を経験。こうした若い世代が、とりわけ熱狂的にビンラディン容疑者殺害を支持している。アメリカ在住のコラムニスト・町山智浩さんがいう。

「アメリカの大学生の動向を研究する団体が、“ビンラディン殺害の日に、ホワイトハウスなどで歓喜した人たちは誰だったんだろう?”と追跡調査したんですね。すると、ほぼ100%が各地の大学生でした。白人率が高く、年齢は20代前半。テロのときに12才ぐらいだった若者たちです」

その調査では、「なぜ、あなたは喜ぶのか?」という質問もした。代表的な答えは次のようなものだった。

「物心ついたときからずっと対テロ戦争が続いていた。すごく陰惨でつらい気持ちだった。やっと息ができる気がした」

この年代の若者は「9.11世代」といわれる。『アメリカなう。』(小学館刊)の著者でアメリカ在住の元毎日新聞記者・小国綾子さんが解説する。

「9.11世代の若者はちょうど小学校高学年くらいの多感な時期にテロに遭遇し、アメリカがアフガニスタンやイラクを相手にした対テロ戦争とともに青春を過ごしました。“ビンラディンの死”でそういう重苦しさから自由になれた気がして、若者たちは歓喜に沸いたのでしょう」

※女性セブン2011年6月2日号

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