東日本が未曾有の大災害に見舞われ、もがき苦しんでいる今、商都・大阪を中心とした関西の役割が改めて見直されている。阪神・淡路大震災から立ち上がった経験を持つ関西に、日本復興の旗振り役としての期待がかかっているのだ。伝説的な深夜番組「11PM」のキャスターとして、日本を元気にしてきた関西在住の作家・藤本義一氏が「今度は関西が以前助けてもらった恩返しをする番だ」と、その意気込みを語る。
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関西人は基本的におせっかいだ。これは商売人として、他人に目が向いているためだ。商いというのは遠くの人と取引をすることであり、見えないところにいる相手のことが心配で仕方がない。他にも陽気、おしゃべり、人なつっこい、せっかち、猥雑、騒がしいといった関西人の特徴を、一言で言えば反・秩序ということだろう。
大阪の地下鉄ではラッシュ時に整列乗車ができないと言われるように、公共道徳心が低い面もある。しかし、その背景には「すべてが自己責任だ」という潔さが共存している。「やってみなはれ」という言葉に象徴されるように、何事にも果敢に挑戦してみないと分からないという冒険的な意味合いも含まれている。政治がこれでは困るが、この精神が商売や復興支援に向けられることは大いに結構なことだ。
また、関西商法という言葉に象徴されるように、関西人はアイディアマンが多い。もともと関西では“アイディアは無料”という考え方がある。大阪は昔から“才覚”の町ではあるが、アイディアにカネをかけようとしない風潮があり、この思考は基本的に企業から役所まで同じだ。そのためヒット商品が出るとたちまちコピー・改造商品が出回り、役所も評判になった制度をすぐに導入する。モノマネから始まって、それがいずれは創造性や知恵、知識、センスに磨きをかけることになる。
日本人には「長いものには巻かれよ」式の思考や行動様式が根強くある。封建主義や軍国主義の影響なのか、力のある者には逆らわず、表面上は従っておくほうが無難だとする考えである。ところが、関西人は公権力を極端に嫌うようなところがある。権力軽視の傾向があり、巨大な権力を持つものに対し反発を感じる人も多い。お上の言うことを無条件で信用せず、自分たちのセンスと価値観で世界を見ること今こそそういった関西人の目が日本人全体に求められているのではないか。
これまでの中央(東京)一極集中が見直される中で、今後の日本の復興を主導する底力とヒントは、関西にあると確信している。
※SAPIO2011年5月25日号