世界中の注目を浴びたイギリスのロイヤルウエディング。純白のドレス姿のキャサリン妃(29)の美貌に魅了されつつも、「こんなにスリムだったかしら?」と驚いた人もいたのでは。実は挙式が近づくにつれて花嫁がみるみるやせていった陰には、「デュカン・ダイエット」と呼ばれるダイエット法があったという。
ふっくらしていた大学時代に比べると、実に9㎏もやせたといわれている。
デュカン・ダイエットの特徴は、米やパンなどの炭水化物を控えること。一方、100の食材(72の動物性たんぱく質と28の野菜)がリスト化されており、そこに記されたものなら基本的にいくら食べてもよく、それらの食材を使った750のレシピも用意されている。アルコールは厳禁で、砂糖・油・脂肪製品・甘味料も避けなければならないが、低カロリーの炭酸飲料は飲んでもよく、デザートも週に2回なら大丈夫。
具体的には、次の4つのフェーズ(過程)に分けて実践することになっている。
【第1フェーズ】
たんぱく質だけを食べる。無制限に食べていいのは、牛肉、鶏肉(皮はダメ)、七面鳥、魚介類、無脂肪の乳製品など。卵は1日2個まで。同時に、水をたくさん飲むことが義務づけられる。行うのは長くても10日間まで。ダイエット目標がマイナス3~4kgの人なら1日、5~7kg落としたい人は3日程度続ける。
【第2フェーズ】
たんぱく質だけを食べる日と、たんぱく質と共に野菜を食べる日を交互に繰り返す。野菜は、炭水化物が多く含まれるじゃがいも、にんじん、かぼちゃ、とうもろこしなどは避け、その他の緑黄色野菜を中心に。水は1日最低2リットル飲む。この期間に目標体重まで落とす。体質や目標によって異なるが、数日~数か月が目安。
【第3フェーズ】
落とした体重をここで強化・安定させる。たんぱく質と野菜に加え、1日1カップ程度の果物、50g前後のチーズ、2枚のライ麦パンで過ごす。週に2回だけ米やパスタなどの炭水化物も食べられるが、中心はあくまでもたんぱく質。この過程を続ける期間は、第1~2フェーズで落とした体重(kg)×10日。例えば5kg減った人なら、50日間これを続ける。
【第4フェーズ】
この過程にはいるころには、食欲をコントロールできるようになっているという。それを前提に、野菜、果物、たんぱく質、炭水化物をバランスよく摂る。ただし1週間に1回はたんぱく質だけを食べる日を設ける。ここで継続をあきらめた場合、95%がリバウンドするというから要注意。
今年4月のフランス世論調査研究所の調査では、デュカン・ダイエットを実行した人の98%が「満足している」と回答。しかし、一方では安全性を疑う声も上がっている。
「フランス食品環境労働衛生安全庁が昨年作成したダイエット法に関する報告書では、“繊維とビタミンとミネラルと糖質が足りず、バランスが悪い”“がんや心臓病を引き起こす可能性が高い”と指摘されています」(フランス在住ジャーナリスト)
では、日本人には適しているのだろうか。日本肥満学会員で、大川クリニック院長の大川隆裕さんはこう注意を促す。
「このダイエットで評価できるのは、水を多く飲むように勧めている点だけ。炭水化物の摂取を抑えているために、脳のエネルギーとなるブドウ糖が不足し、思考力が落ちることも考えられます。また日本人は野菜や穀類中心で進化してきたため、肉食中心で進化してきた欧米人と消化器官に違いがあります。このため日本人がこうしたダイエットを行うと、強いリバウンドや栄養障害をひき起こす可能性が強いと思われます」
キャサリン妃のスタイルに憧れるのはいいけれど、チャレンジする際はくれぐれも慎重に。
※女性セブン2011年6月2日号