享年79。5月6日に旅立った官能小説界の鬼才・団鬼六氏といえば、杉本彩や愛染恭子といった「いい女」との交流で知られる。そんな同士にとって“理想の女”とはどんな存在だったのだろうか。
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意外にも、私生活では肉欲に溺れることが少なかったという団氏。それは、心の中に確固たる女性像があったからに他ならない。団氏が語る。
「どんな男も、心の中に理想の女性を思い描いとるもんなんです。それは女房に求めるものとは違う。僕でいえば、例えば原節子とか田中絹代のような、長い黒髪と、和服が似合う女性やね。憂いがあって、控えめで。だけど床に入ると、自分の中の獣性を抑えきれずに身悶える、という感じや。
その理想の女を、僕は小説の中で再現してきたわけ。谷ナオミや杉本彩もいいけど、僕にとって最高の女は、やっぱり『花と蛇』の静子だとか、小説の中で描いたヒロインたちなんです。だけど、そんな女、現実世界にはなかなかおらんから。もしおったら、シコシコ小説なんて書いとるわけないやろ。あの手この手で尻追いかけまわしとるで(笑い)」
※週刊ポスト2011年5月27日号