アメリカが無人爆撃機「プレデター」を投入し、イギリス・フランス・イタリアが軍事顧問団を派遣するなど、泥沼化するリビア情勢。鍵を握るのは、欧米の軍事介入に対するカダフィ氏の動向だ。「奇行が多い」と言われるが、その実、同氏に関しての個人情報はさほど多くはない。国際政治アナリストの菅原出(すがわら・いずる)氏が、「人間・カダフィ」の“実像”と“性癖”に迫る。
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カダフィ氏のプライベートな情報は、これまであまり表に出てこなかった。
これは、厳しい情報統制が行なわれていたからに他ならない。カダフィ氏は、自らの権威を貶めるようなことをする者はすぐに粛清し、そのためリビアの国内メディアも同氏のパーソナルな情報はほとんど報じてこなかった。
1986年には、首都トリポリの住居で、日本のラブホテルにあった「回転ベッド」を愛用していたことが明らかになり国際社会から失笑を買ったことがあったが、これはカダフィ氏自ら、米軍の爆撃で破壊された自宅を各国の報道陣に公開したためだった。
そんなカダフィ氏のプライベートが、リビアの混乱を受け、少しずつ明らかになってきている。
中でも注目に値するのは、最近ウィキリークスで公開された、2009年9月29日付の在リビア米国大使の外交公電だ。
それによれば、「カダフィ氏は飛行機による長時間の移動が嫌いな上、洋上を飛ぶことを怖がる」という。そのため、ニューヨーク行きでは、8時間以上のフライトを拒否。ポルトガルで途中休憩するなど特別なアレンジが必要になったと報告されている。
また、階段を35段以上、上ることができないので、カダフィ氏が使用する施設は常に1階を用意するように求められたという。そのため、カダフィ氏は「高所恐怖症」なのではないかとされている。
※SAPIO2011年5月25日号