現在、日本人のがん死のうち、第3位の「肝がん」。男性では40歳代後半から、女性では50歳代後半から増加し始め、罹患者の生存率は20%前後と、ほかのがんに比べて著しく低い(国立がん研究センターがん対策情報センター調べ)。
■肝がんの主な原因は「ウイルス性肝炎」
肝がんの原因の約90%は「B型・C型ウイルス性肝炎」。つまり、肝炎への感染を防ぐことができれば、肝がんの罹患リスクをかなり低減できるということだ。
厚生労働省は、毎年5月第4週(2011年は5月23~29日)を「肝臓週間」と定め、肝炎への感染予防の重要性を訴えている。
■“沈黙の臓器”を目覚めさせよ
ウイルス性肝炎は国内最大級の感染症で、B型・C型を合わせると、300万人以上――日本人の約40人に1人が感染していると予想される。
肝臓は、病気にかかっていても、なかなか症状が出ないため、気づいた時には重症化しているケースも多い。しかし、肝炎ウイルスへの感染を早期に発見・治療さえしておけば、将来のウイルス性肝炎、ひいては肝がんさえ、予防できる確率が非常に高いということなのだ。
■26歳以上の人は感染の可能性あり
肝炎ウイルスは、「血液」を通して感染する。とくに、感染力の強いB型肝炎のほとんどは、出生時に母親から「母子感染」するといわれている。
1985年以前に生まれた人、つまり今年26歳となる人以上は、母子感染予防策が実施されていなかったため、感染リスクを考え、早期に検査を受けておいた方がよい。
■まずはインターネットで手軽に「肝臓チェック」を
肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、全国の保健所や指定医療機関で行なわれている無料(一部負担が必要なケースもある)の「血液検査」で、簡単に調べることができる。この検査は短時間で済み、数週間後には検査結果がわかる。
「保健所に行く時間がない」という人には、B型肝炎の情報サイト『肝炎.net』で事前にチェックしてみるのもオススメだ。
同サイト内の「Kanzo診断」では、6つの簡単な質問に答えるだけで、B型肝炎ウイルスに感染している可能性を診断できる。また、B型肝炎に関する最新情報や、無料の検査施設についての情報も掲載されているため、早期発見や感染対策の一助にもなる。
肝炎ウイルスに感染している場合は、少量の飲酒でも肝機能の悪化を招く。「今はまだ大丈夫」と油断せず、原因となる肝炎を手軽なインターネット診断や無料健診でチェックし、「肝がん」のリスク回避を。