死の間際まで、ダンディズムを貫いた人だった。
司会者・俳優として活躍した児玉清氏(享年77)が5月16日、胃がんで急逝した。3月末から休養していた『アタック25』(テレビ朝日系)への復帰はかなわぬままだったが、病室でも身近な人たちへのユーモアは忘れなかった。
戦時中、群馬県の四万温泉で児玉氏と共に疎開していた東京都滝野川の国民学校時代の同級生がいう。
「5月10日のことでした。“僕はそろそろだから、会いに来てほしい”と電話で告げられました。死の1週間前で辛かったはずなのに、彼は、“僕は今、大富豪のような生活をしているんだ”と、病室暮らしのことをユーモアたっぷりに表現するんです。友に心配をかけまいとする優しさと、彼ならではの知性がこもった言葉に、涙があふれました」
※週刊ポスト2011年6月3日号