5月に入って5度の完封負け(19日現在)と極度の打撃不振を抱える東北楽天が、一軍、二軍のコーチ計8人の配置転換という大がかりな人事刷新を断行したのは5月15日のこと。だが、打撃不振解消のためという割には、どうもその効果が疑わしい。最大の疑問は、一番の責任者であるはずの田淵幸一・ヘッド兼打撃コーチがお咎めなしだったことだ。
「開幕前に『骨盤打法』に開眼した田淵コーチは、積極的に選手に指導。若手の大廣翔治や牧田明久らが門下生として打撃改造に努めました。だが、いざ開幕すると両選手に快音は聞かれず、外国人門下生のルイーズは打率1割台と結果は散々です。身代わりで降格になった礒部公一打撃コーチ補佐には、同情論が出ています」(スポーツジャーナリスト)
だが、この大幅な人事異動にはさらに深いワケがあるらしい。
「今回の人事は、星野監督ではなく三木谷浩史会長の意向が強いといわれています。5月上旬、あまりの貧打に我慢できなくなった三木谷会長が、主力選手にレポート提出を求める“事件”があった。監督ら首脳陣に断わりもなかったらしく、会長の不満はかなり溜まっている」(前出のジャーナリスト)
歴史を振り返ると、楽天は球団創設1年目の田尾監督時代や、昨年のブラウン監督時代も、交流戦前に一、二軍のコーチが入れ替わっている。どちらも開幕ダッシュに失敗した年であり、「三木谷会長介入説」もさもありなんといったところか。
星野監督は、「オレが球団に頼んで連れてきたのは田淵と(同じ明大OBの)三輪(隆・一軍バッテリーコーチ)だけや」と、「お友達内閣」批判に反論しているが、さすがの闘将も口うるさいオーナーには逆らえない?
※週刊ポスト2011年6月3日号