放射能汚染が止まらない。5月になり、神奈川などで生茶葉から規制値(1kgあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された。お茶については、厚労省と農水省で、お湯で淹れる前の荒茶も検査すべき、いや飲む状態で検査すべきといい争っている。しかし、問題は福島から遠く離れたところでも高い数値が出ていることで、現在5県20市町村で出荷自粛措置が取られている。
ここで問題となるのは「内部被曝」の点だ。美作大学大学院・山口英昌教授はいう。
「放射線を体外から浴びるのが外部被曝。一方、食物や飲み物に含まれている放射性物質が体のなかにはいり込む。その放射性物質から放射線が出て被曝すること、これが内部被曝なんです。水や食品だけでなく、大気中の埃に含まれる放射性物質を吸い込んでも内部被曝します。外部被曝より強く身体に影響があります」
放射線にはα線、β線、γ線などの種類があるが、α線やβ線は空気中で短い距離しか飛ばないため、外部被曝の危険性は低い。ところが内部被曝すると、α線やβ線の影響を大きく受けることになるという。琉球大学・矢ヶ崎克馬名誉教授がこう説明する。
「内部被曝はどういう物質が体にはいったかが問題です。たとえばヨウ素はDNAに異常をきたす力がより強力なβ線を出し、外部被曝より4.5倍も激しい被曝を体に与えます」
すでに厚労省の調査により、β線を出すヨウ素やセシウムが農作物から検出されている。北里大学獣医学部・伊藤伸彦教授はα線の危険性も指摘する。
「α線はγ線と比べ5~10倍の影響があるといわれています」
α線を出すプルトニウムはいまのところ原発近くでしか検出されていないが、原子炉建屋地下に溜まっている高濃度汚染水が海へと漏れ出た場合や水蒸気爆発が起きた場合、プルトニウムが広く拡散する可能性がある。
※女性セブン2011年6月9日号