東日本大震災は政府のリーダーシップの欠如を露呈したが、そもそもリーダーの選び方は正しいのか? 日本のリーダーをいかに選ぶべきかを大前研一氏が提言する。
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議院内閣制の発祥地で日本もお手本にしているイギリスの場合は、いずれも第一党の党首であるジョン・メージャーが7年、トニー・ブレアが10年続き、ゴードン・ブラウンのように不人気な首相でも3年近く務めている。
ちなみに戦後の首相として現在のデービッド・キャメロンは13人目、菅氏は32人目である。同じ議院内閣制でも、いかに日本の首相が猫の目のように代わっているかがわかるだろう。
このように政権が安定している上、必要に応じた制度修正を試みるイギリスの議院内閣制と、極めて不安定であるにもかかわらず問題点を改善しようとしない日本のそれは似て非なるものである。では、日本はどうすべきなのか? 私はここで「政権担当資格」という考え方を提案したい。
そのメカニズムはこうだ。基本的に首相は、総選挙の結果、第一党となった党の党首に限定する。4年間の任期中に首相を代える場合は、その候補者の就任について、国民投票による承認を必要条件とする。そして、その期間内に代えられるのは1人のみとし、3人目にしたら自動的に解散総選挙(スリーアウト・チェンジ)となる。
そうすれば有権者は第一党の党首が首相になることを前提に投票できるから、選んだ覚えのない人が首相になって「なぜ、あの人が?」ということにならない。政治家にとっては、実現したい政策に腰を据えて長期的に取り組めるというメリットがある。
もう一つは、憲法を改正して一気に大統領制のようなシステムに移行し、最初から国民が直接選ぶという方法だ。いわゆる「首相公選制」である。天皇制との矛盾を指摘する学者の意見も聞かれるが、天皇は「国政に関する権能を有しない」(憲法第4条)ため、国民が自分たちの政治的指導者を直接投票で選ぶことは天皇制と矛盾しないだろう。
※週刊ポスト2011年6月3日号