「あ~」
5月22日に最終日を迎えたゴルフの「とおとうみ浜松オープン」。小林正則(35)が石川遼を振り切って見事、プロ14年目にして初優勝を成し遂げた。ところが、ギャラリーから漏れてきたのはため息ばかり。
「大会の優勝賞金は2000万円、2位だと1000万円。石川は今シーズンの獲得賞金をすべて東日本大震災の義捐金にすると表明している。ファンの多くは、『東北のために頑張れ』と石川を応援していましたからね」(ツアー関係者)
そんな会場の雰囲気は小林本人にも伝わっていたようだ。
「小林は日大時代から注目されてきた逸材ですが、優勝できないどころか、2005年からは3年連続で賞金ゼロの時代もあった。千葉の実家で親のスネをかじりながら、近くのゴルフ場で練習をさせてもらう日々。そんな苦労人のうえ、もともと優しい性格ですから、“僕はいくら寄付したらいいでしょう”とプロ仲間に相談していたそうです」(ゴルフ関係者)
とはいえ、小林の昨年の賞金額は90万円で154位。ツアー出場の交通費などを考えると大赤字だろう。石川のように全額寄付など土台無理な話だ。当の小林を直撃すると、
「最後のパットを入れた瞬間は最高でした。うれしいというか、ホッとしました。夜になると“ウソじゃないか”と疑いましたけどね。まだ、賞金が振り込まれていないので、実感もありませんが(笑い)」
石川が賞金を義捐金にするといっていて、やりづらくなかったかと聞くと、少し困惑しつつもこう答えた。
「だって立場が違いますからね。遼がやっていることは素晴らしい社会貢献だと思うけど、ボク自身も生きていかないといけないから(笑い)。JGTO(日本ゴルフツアー機構)で賞金の6%を義捐金に回すことは決まっているので、それは喜んでさせていただきます」
※週刊ポスト2011年6月10日号