オサマ・ビンラディン容疑者殺害を受け、アルカイダは復讐を宣言した。軍事アナリストの小川和久氏は、「福島第一原発がテロ攻撃の標的として狙われる必然性がある」と指摘する。
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震災から立ち上がろうとしている最中の日本で原発テロを起こしたりすれば、国際世論から大反発を受ける。だから、日本が狙われることはないだろうという声を耳にするが、あまりにナイーブだ。
アルカイダは9.11同時多発テロを見てもわかるように、大規模であればあるほど、残虐であればあるほど、世界中に衝撃を与えられると信じている。
恐ろしいことだが、こうしたテロに拍手し、物心両面で支援する人間が何百万人も存在するのだ。テロリストは、世界中からどれだけ非難されようとも、支援者にさえ認められれば、資金援助を受け、活動を続けられる。この点において、多くの民衆を味方にしたいと考える反政府ゲリラとは決定的に違う。
アメリカは「オペレーション・トモダチ」をはじめ、震災後の日本に多大な支援をしている。これもアルカイダから見れば、「日本はアメリカにとって重要な同盟国であり、攻撃に値する」と判断する材料になる。
敵の立場で見ていくと、福島第一原発に狙われる必然性があることがよくわかるだろう。もはや、原発テロが起こってから「想定外だった」などという釈明が許される状況ではない。
※SAPIO2011年6月15日号