太ると知能が下がる!? 『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でおなじみの脳科学者・脳科学評論家の澤口俊之氏が、脳科学の見地からダイエットについて語ります。
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ダイエットは男女を問わず、いまの日本では永遠のテーマのようです。そこで今回は脳とダイエットの仕組みについてお話ししましょう。
確かに肥満は万病の元です。心臓疾患との関係はよく知られていますが、脳機能に限っても、太っているほど知能が低い傾向があることがわかっています。知能が低いから太るのではなく、太ると知能が下がるのです。おまけに、認知症にも罹患しやすくなります。
また、最近話題の「実年齢」(生まれたときから数えた年齢=暦年齢とは関係なく、心と体の状態を総合的に見た年齢)も太りすぎによって上がります。
実際、暦年齢ではなく、見かけの年齢である「実年齢」のほうが重要で、生物学的な年齢にも近いということがわかってきました。例えば40才でも、すっぴん状態で若く見える人の「実年齢」は若く、マイナス5才の35才程度だといえることもあります。
そして、カロリー制限をすることで、見かけの年齢は下がり、実際に若くなります。適正なカロリーを維持して肥満を防ぐことは、アンチエイジングの見地からもとても重要なことなのです。
しかしダイエットを成功させるのはなかなか難しいもの。それほど肥満がやっかいなのは「肥満が麻薬中毒と同じ仕組みでもたらされる」という点があげられます。
食べることで脳内報酬系が活性化され、ドーパミンが出て快感が生まれます。この快感を追い求めてさらに食べる。この繰り返しで、肥満への負のスパイラルに陥っていくのです。
※女性セブン2011年6月9日号