菅直人首相の外国人献金問題の根は深い。菅氏の資金管理団体「草志会」が2006年~2009年にかけ在日韓国人実業家から104万円の献金を受けていた問題だ。ジャーナリストの田村建雄氏が報告する。
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菅氏サイドに献金したB氏(58)は1973年パチンコ屋やクラブ、スナックなどを営む有限会社を横浜市内に設立。その後、2005年から2007年は在日韓国人が経営する旧横浜商銀信用組合理事も務めていた。
そのB氏が奇妙な動きをしたのは06年9月6日付で菅氏に100万円を献金した直後のこと。9月28日付でオークション会社を立ち上げている。
その翌年07年3月、B氏のオークション会社は静岡県の防災船「希望」を競争入札の末2000万1円で落札していた。「希望」とは当時の静岡県総合管理公社(解散)が所有していた40ノット、全長74m、定員260人、普通車30台積載可能という大型船だ。県議会関係者は、「なぜ船の運航実績がない会社が落札したのか、ちょっとした話題になった」と振り返る。
さらに落札直後、B氏の会社は「エンジンを買えないか」と県サイドに言い出したという。落札した船は船体のみだった。当時の状況を経済産業省関係者が明かす。
「06年から07年にかけては、ヤマハ発動機が中国の人民解放軍につながる中国企業に軍事転用可能な無人ヘリコプターを不正輸出しようとした疑惑があった。それだけに当然エンジンの買い戻しなどかなうはずもなく、結局、B氏はエンジンが無いなら無意味だと契約は流れた」
B氏はエンジン付きの船体になぜこだわったのか。公安関係者がこういぶかる。
「B氏は韓国系の旧横浜商銀理事を務め韓国政府関係者ともツーカーの仲だという。だが韓国政府関係者はこの船の一件はまったく知らなかったと言い、この船の件を最近改めて知り絶句したと聞く。実父が北朝鮮籍だと報じられているB氏と菅総理との関係が大いに注目される」
この件でB氏に質問状を送付したが、回答はなかった。
前原誠司外相(当時)の外国人献金問題を追及、外相辞任の契機を作った西田昌司参院議員はこう指摘する。
「前原氏、菅総理の献金問題は終わっていない。疑惑の奥は深い。これからが本番だ」
前原外相が京都の織物会社幹部と訪朝、よど号犯と写真撮影していた問題を今国会で追及した稲田朋美代議士も「前原氏らの行動は日本の北朝鮮政策を歪めかねない重大問題。今後、氏や政権中枢と北朝鮮との不透明な関係をさらにクリアにすべき」と言う。
菅氏の政治資金について回る“影”はこれから解明されていかなければならない。
※SAPIO2011年6月15日号