墓場と言う場所は決して気持ちの良い場所ではないが、増して“墓荒らし”ともなれば、いよいよまともな人間には想像も付かない話。しかし過去には、世にもおぞましいその墓荒らしを行った兄弟がいた。彼らの、驚くべき犯行の動機とは?
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明治22年10月、滋賀県甲賀郡長野村(現・甲賀市)で、土葬されたばかりの墓が暴かれ、頭部だけが盗まれる怪事件が起きた。当初は野犬の仕業と思われたが、墓石を動かした痕跡などから警察は人間の犯行と断定する。
捜査の末、村に暮らす神山房吉と勘太郎の兄弟が容疑者として浮上。警官が自宅に踏み込むと、強烈な腐臭が漂い、風呂場から大量の毛髪と歯が発見される。これが証拠となって2人は逮捕された。
兄弟は性病やダニの寄生による激しい痒みに悩まされていた。そこで「生首や人骨は難病に効く万能薬」という迷信を信じ、人体の一部を湯に浸して人肉風呂にしようと考え、墓を掘り起こしていたのだった。
※週刊ポスト2011年6月10日号