男という生き物は大なり小なり“助平”なものだが、「助平の代名詞」とも呼ばれた男が戦後のドサクサ期に現われたのをご存じだろうか。「稀代の連続殺人鬼」とも呼ばれた男が犯した残忍無比な罪とは?
* * *
「国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島、泥棒の始まりが石川の五右衛門なら、助平の始まりが小平の義雄」
映画『男はつらいよ』の寅さんの口上に登場する小平義雄(逮捕時42)こそ、昭和20~21年にかけて連続強姦殺人で世間を震撼させた男だ。
昭和21年8月17日、東京・芝公園の増上寺で若い女性の全裸死体が発見され、間もなく小平が逮捕された。その後、栃木と東京で計7件の強姦殺人を行なっていたことが判明する。
戦中戦後の混乱を利用するのが、小平の犯行手口の特徴だった。栃木で起こした3件の犯行は、いずれも「米や野菜を売ってくれる農家を紹介する」と女性を誘って山林に連れ込み、暴行・殺害に及ぶというものだった。
小平は強盗および強姦殺人罪で死刑が確定。他にも30件の婦女暴行を認めており、以後、残虐な婦女暴行事件が起こるたびに「第2の小平事件」と呼ばれるようになった。
※週刊ポスト2011年6月10日号