原発に代わるエネルギーをどうすべきか、議論が盛んだが、ジャーナリストの池上彰氏は大きな希望となるべきエネルギーが日本近海に眠っていると指摘する。
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現状で日本にとって大きな希望となるのはメタンハイドレートでしょう。
これは、メタンガスが凍ってシャーベット状になった固体結晶で、海底の地下100~300m前後の地層に埋蔵されています。これが日本近海の新潟沖や東部南海トラフに眠っていると確認されたのです。
しかもその量は、国内の天然ガス消費量の約90年分に相当するというから驚きです。
メタンハイドレートは火をつけると燃焼するため「燃える氷」とも呼ばれます。燃焼時のCO2排出量は石油や石炭の半分程度で、燃え尽きた後に残るのは水だけです。
私は燃える現物を見たことがありますが、青白い炎が実にきれいでした。難点は、メタンガスの温室効果と採掘の難しさです。 まだ技術的・経済的な課題は多いのですが、石炭を除くと日本で採れる唯一の天然資源であり、新エネルギーの“切り札”と目されています。
※SAPIO2011年6月15日号