福島原発の事故で人間は本当に原子力をコントロールできるのかが、問われた。コントールは可能という宮崎慶次・大阪科学技術センター顧問と経済学者、池田信夫氏の意見を紹介する。
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【宮﨑】浜岡原発は、建設当初から東海地震に対する耐震性が必要なことはわかっていただけに、十分な耐震性を持たせた設計となっていると思う。
地震に関して新しい知見が得られるごとに、耐震性を高め、古い1~2号機は廃炉にし、3~5号機も大規模な改修工事が行なわれてきた。
浜岡以外でも、BWR(沸騰水型炉)を所有している電力会社は津波対策と同時にアクシデント・マネジメント(過酷事故対策)を再確認すれば、運転を継続してもよいのではなかろうか。
また、BWRにせよ、PWR(加圧水型炉)にせよ、新型の炉は過去の経験を取り入れて改良されているので、安全性でも経済性でも旧式のものより優れている。
今後、電力会社はリプレースを積極的に進めるべきだと思うが、立地県の知事が受け入れに厳しい条件をつけてなかなか理解が得られない例もみられるので残念だ。
【池田】チェルノブイリ原発事故では、原子炉圧力容器が破壊され、核燃料が上空数十㎞まで噴き上げられた。
だが、今回の事故は、それとはまったく違う。「最悪の事態は防げた」という意味で、よく現場は原発をコントロールしていると言える。
今回は、地震が起こった瞬間に制御棒が入り、連鎖反応が止まった。
ところが、東電の経営陣か技術陣が判断を誤り、初動で冷却をきちんとしなかった判断ミスにより、数か月も収拾のつかない事態に陥った。
今後、検証すればわかると思うが、防げない事故ではなかったはずだ。現在の政府や東電の力不足でこうなってしまった罪は大きいが、人類は原発を安全にコントロールする知恵と技術は本来持っているのである。
※SAPIO2011年6月15日号