1901年(明治34)、官営八幡製鐵所の創業以来、鉄鋼や機械、化学など日本の基幹産業の発展を支えてきた北九州工業地帯。この工場群の夜景を観賞するバスツアーが人気を集めている。これを実現させたのは官民一体となった“北九州愛”だった。
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工場の夜景を観賞するツアーが全国的に人気を集めている。先駆けとなったのは、神奈川県の川崎市。国内有数の京浜工業地帯のプラントに煌々とともる灯りを“工場夜景”と銘打った観賞ツアーは、JTBやはとバスツアー、屋形船クルーズまで登場する人気を博している。
今年2月には、三重県の四日市市、北海道室蘭市と北九州市を加えた工業地帯4都市がサミットを開催。
〈私たちは、工場夜景の魅力を知ることをとおして、我が国の経済発展の基盤となったものづくりの精神と伝統を学び、継承するとともに、経済発展の過程で発生した公害の克服に向けて取り組んできた歴史、環境と人間との調和をはぐくんだ先端技術を、日本国内はもとより世界に発信してまいります〉と高らかに宣言した。
北九州のツアーを取り仕切っているのが、JTB九州北九州支店。「北九州 工場群夜景観賞バスツアー」が今年の2月から4月まで、7回売り出され、早々に完売するほど人気を博し、5月以降も継続されている。
このツアーに参加した50代の男性はいう。
「この町で生まれ育ったけれど、工場の夜景をじっくりと見たのは初めて。誇らしげな情景はすばらしい」
※週刊ポスト2011年6月10日号