この秋から米MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボの第4代所長に就任するのが伊藤穰一氏(44)だ。同氏は日本社会のありように苦言を呈するが、解決策もあると語る。
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日本企業もとりあえず議論の前にトライしてみるべきなんです。日本人は、高い創造性を持っていると思います。ただし、それをビジネスに転換するまでのプロセスが限られており、40代にならないと権限もない。
日本のゲームやアニメは世界でも高く評価されています。それは日本人がそうした才覚に優れているというよりも、若い才能に権限を持たせるリスクが他の業界より低いからだと思う。
日本は失敗が許されない社会です。失敗して面目を失いたくないためチャレンジできない。プランAとプランBを常に持って、Aが失敗したらすぐにBに行くという感覚を持つべきです。
社会システムそのものをシフトさせるのは難しい。日本を変えるには、面白いことをしている人たちがロールモデルになることが必要です。チャレンジしている人を応援して評価していけば、自然に多様性ある環境に変わっていくと思う。
※週刊ポスト2011年6月10日号