大幅な電力不足と冷房自粛で、今年はこれまで経験したことのない“暑い夏”がやってきそうだ。これを受けてスタートする「スーパークールビズ」。その商戦の最前線を追った。
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百貨店各社はいずれもクールビズコーナーを拡充し、客を引きつけるべく、あの手この手で奮闘中。小田急百貨店新宿店では、
「4月下旬から展開している長袖と半袖のワイシャツの売り上げは例年比2ケタ増、特に半袖に限れば3倍増となっています。長袖では、折り曲げたところに柄が出るデザインの商品が人気です」(企画部)
と手応えを感じている様子。また大丸東京店では、
「『ビズポロ』と銘打って通気性、吸汗性、肌触りはそのままに、襟がビジネスシャツと同じようなデザインのポロシャツを販売しています。売り上げは対前年比で2倍を見込んでいます」(営業推進部)
と語る。意外な商品が売れているのが、池袋東武百貨店。
「ステテコが売れに売れています。吸汗速乾性やデザイン性などを高めたクールビズ商品で、4月は前年比で倍の売れ行きです」(総務部)
単なる下着ではなく、1枚で部屋着になるおしゃれステテコなのだ。こうした特需を受けてメーカーも新商品開発に必死。アンダーウェアの素材を手掛ける第一紡績によると、
「速乾、消臭、冷感素材など多機能商品の引き合いがこのところ急増しています。計画数の2倍の注文が来ています」(開発部)
という。大手アパレルメーカーではすでに夏物商品の生産は終了しているが、中小のメーカーからは、7~8月に間に合う新しいクールビズ商品が出てくることが予想される。
※SAPIO2011年6月15日号