5月20日からジョニー・デップ主演の『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』が公開されているが、あちらは映画の中でのお話。2005年にはマラッカ海峡沖で日本の商船が襲われる事件も発生したが、戦後の日本でも、瀬戸内海で海賊が跳梁跋扈した時期があった。
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GHQ統治下、瀬戸内海では海賊が跋扈していた。機銃を据えた機帆船に乗った彼らは日本刀やピストル、ダイナマイトなどで武装して船舶を襲撃し、沿岸地域を荒らし回った。
中でも派手に暴れ回ったのが、昭和24年3月3日に逮捕された青果商・丸山秀義(29)らの一味。彼らは一般民家を襲うことは少なく、主に闇ブローカーや企業、官庁などを標的としていた。
丸山の自供によれば、海賊団の構成員は実に2000人。高松、丸亀、観音寺に拠点が置かれ、5人の貸元(頭目)が陣頭指揮を執っていたという。構成員には会社員、漁師、博徒まで様々な職業の人間がおり、貸元の号令で集結していたが、構成員同士は互いに名前さえ知らなかった。そのため、警察は丸山を取り調べたものの、黒幕には辿り着けなかった。
※週刊ポスト2011年6月10日号