日本19分に対し、アメリカは97分。この1軒あたりの年間事故停電時間からもわかるように、実はアメリカは停電大国だ。夏場になれば、需要に電力供給が追いつかず停電することも日常的に起きている。いったいどのようにして、電力危機の夏を乗り越えているのだろうか。在米ジャーナリスト・武末幸繁氏が報告する。
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一般的なニューヨーカーは、まず服装が軽装だ。夏場、少なくとも通勤時にスーツにネクタイの人は少ない。省エネルックというより、アメリカではもともとビジネスシーンでのカジュアル化が進んでおり一流企業や弁護士でもその傾向は広がっている。
休日は短パンが圧倒的で年齢問わず長ズボンをはいて出かける人は少ない。女性は下着と見まごうものが増える。ヒスパニック(中南米系住民)の多い地域に行くと男性は上半身裸という人も多い。
節電に協力してエアコンを使わないとなるとやはり外出することになる。各家庭でエアコンを使用するよりも1か所に集まってエアコンの稼働台数を減らした方が当然、節電になる。
図書館や博物館、美術館、映画館は当然として、最近人気があるのがショッピングモール。例えばマンハッタンから車で1時間ほどのパリセイドセンター・モールは400以上の店がひとつの巨大な建物の中にあり、映画館やレストラン、遊園地(屋内に観覧車がある)まである。
街中を歩いているような気にさせるほどに広いがエアコンはばっちり効いている。夜9時半まで開いているので仕事が終わってから行く人もいる。
水に入るのが一番という向きにはプールだが、50以上ある市営のプールは格安で、屋外プールに至っては無料のため混んでいる。猛暑になると時間延長で夜もオープンしている。
郊外に行くと、最近増えたのが組み立て式のプール。ポールを円形に立て防水シートやパネルを張ったもので、自分で組み立てることができる。800ドル(約6万5000円)も出せば半径6mほどのものが買える。
もっと簡単なプールもある。アメリカは田舎に行くとほとんどの家にピックアップトラック(小型トラック)があるのだが、その荷台にビニールシートを敷いて水を入れればプールの完成である。プールというより水風呂か。経験したことはないが、水に浸かったまま走れば相当涼しそうだ。
海も日本と同じで週末ともなればどっと人が繰り出すが、もっとヒンヤリしたい人たちは湖や川に行く。最近はスイミングホールと呼ばれる滝や渓流などのスポットが密かな人気を呼んでいる。ただしライフセーバー(監視員)などはいないため遊泳には注意が必要だ。そのかわり、人目を気にせず全裸で泳いでいる連中がいるらしい。
※SAPIO2011年6月15日号