厚生労働省の食中毒統計によると、平成22年の食中毒発生件数は1254件。患者数は実に2万5972人にも上る。さらに驚くべきは、その原因となった施設の第2位が「家庭」(14.6%)であることだ。第1位の飲食店(62.2%)に比べて割合は低いものの、家庭のキッチンは誰もが毎日使う場所。
同省も「家庭での発生では症状が軽かったり、発症人数が少なかったりすることから、風邪や寝冷えなどと思われがちで、食中毒とは気づかず、重症になったり、死亡したりする例もある」と、注意を呼びかけている。抵抗力の弱いお年寄りや小さい子供がいる場合は特に、家庭での食中毒対策は、おろそかにできない。
■夏は“細菌”による食中毒に要注意
食中毒と診断された人のうち、約5割はウイルス、約3割は細菌が原因だった(平成21年・農林水産省調べ)。湿度と気温が高い5~9月は細菌が増えやすいため、サルモネラやカンピロバクター、腸管出血性大腸菌のO157やO111など、細菌性の食中毒への注意が必要となる。
厚生労働省の「家庭でできる 食中毒予防の6つのポイント」では、食品の購入から下準備、調理、食後の保存法にいたるまで、事細かに注意点を指導している。
■過半数が「シンクの汚れやにおいが不快」の一方で……
食材を家に持ち帰った後、保存から調理、食後の片付けまでの中心となるのがシンク。大手住宅機器メーカー・クリナップが2005年に行なった調査によると、そのシンク周りについて不快と感じることは「水あか」(70.9%)、「ぬるつき」(65.1%)、「におい」(62.2%)、「黒ずみ」(57.2%)という結果が出た。
また、これらの対策として「マメに掃除」(53.1%)、「力を入れてゴシゴシ洗う」(32.7%)、「スチールウールのたわしを使う」(12.0%)、「強い洗剤を使う」(10.9%)と、日々の努力がうかがえる一方で、「あきらめている」と答えた人が6.3%いた。
■「手入れがラク」なステンレス製キッチンが人気
ぬるつきや黒ずみは、見た目が悪いのはもちろん、細菌の温床となり、食中毒の原因になってしまう可能性もある。そこで注目されているのが、ステンレス。ステンレスには、水回りに適した、次のような特性があるからだ。
【1】水汚れ・サビ・熱に強い
【2】カビ・においがつきにくい
【3】手入れがラクで、美しさが長持ちする
ステンレス素材に定評のあるクリナップでは、シンク部分だけでなく、まな板などを置く「ワークトップ」や、調理器具や調味料を保管する「キャビネット」などの底板まで、あらゆる部分をステンレス化したタイプを2011年6月に販売開始。
このタイプでは、排水溝の蓋までステンレス化されており、従来のゴムパッキンタイプより、においやぬめりがつきにくくなっている。シンクやワークトップの表面には、細かな凹凸のあるため、油汚れや水あかが付着しにくく、ゴシゴシ磨かなくてもきれいになる点もメリットだ。
■ステンレスが“エコ”で“お得”な理由とは
ステンレスのもうひとつの特徴は、“耐久性”。つまり、リフォーム代を節約できるということ。
キッチンでは、熱い鍋をワークトップに置いたり、使い終わった食器をシンクに重ねたり、は日常茶飯事。キズつくのは気になるが、いちいち気にはしていられないというのが実情だろう。しかし、ステンレスはキズにも強く、新品のようにピカピカの状態を保ちやすい。
また、ステンレスはリサイクル率80%と、環境に優しい金属でもある。ステンレスを採用すれば、木製キャビネットでは不可能だった“リサイクル”が、キッチンそのものでも可能になる、ということだ。
女性が炊事などの「食事の管理」をしている時間は、家事をする時間の約半分を占める(平成18年社会生活基本調査)。家庭でも15%の節電が求められるこの夏、クーラーの設定温度を気にしつつ、火を使うスペースで長時間を過ごすのは、誰にとっても過酷な状況といえるはず。
掃除の手間は省いて、食中毒対策はきっちりしたい――ステンレス製キッチンは、そんな願いを叶えてくれるかも。