最近ヨーロッパでは、美容や健康のために「スプーン1杯程度のオリーブオイルを飲む」のが流行っており、日本でも“飲める”アボカドオイルやローズオイルなどが人気を集め、青魚の脂に含まれるDHAやEPAも、健康成分として定番になりつつある。
これまでは「皮脂は美肌の大敵」とばかりに、油分を徹底的に取り去る美容が主流だったスキンケア業界でも、普段の生活では不足しがちな「油」を補うためのアイテムが人気を集めている。
■25才以上は油分不足に要注意
気温も湿度もますます上昇するこれからの季節、「皮脂を落として、肌をさっぱりキレイにしたい」と、強力な洗顔料に切りかえる人もいるだろう。「ベタつキがイヤ」「ドレッサーに向かうのが面倒」と、化粧水をパシャパシャするだけでスキンケア終了…という人も多い。
このさっぱりケア志向が、実はさまざまな肌トラブルや老化の原因となっている可能性がある。
人間の皮脂にはもともと、さまざまな“うるおい成分”が含まれている。この皮脂が、汗と混じり合うと、肌を紫外線や雑菌の刺激から守り、水分の蒸発を防いでうるおいを保つ皮脂膜、つまり“天然のクリーム”ができる。
しかしクレンジングや洗顔をし過ぎて、皮脂を過剰に取り去ってしまうと、こんなトラブルを抱える可能性も…。
・冷房などにより、夏でも肌が乾燥
・皮脂膜のバランスが崩れて、肌のバリア機能が弱まり、肌荒れなどのトラブルを招く
・シミやしわ、くすみなど、肌老化の原因をつくる
女性の場合、肌のうるおい成分であるスクワランの分泌量は25才前後から急激に減っていく。これがいわゆる“お肌の曲がり角”――つまりこの時期以降は、油を目のカタキにするのではなく、むしろ積極的に“給油”をするべきなのだ。
■油選びのポイント
スキンケア用の油に求められる条件として、まず必要なのは、「肌の奥深くまで、きちんと浸透すること」、そして「酸化しないこと」の2つ。
せっかく油分を与えても、浸透せずに肌表面に残ると、“油膜”となって皮膚呼吸を妨げ、新陳代謝を滞らせてしまうからだ。テカリやベタつきのもとにもなる上、紫外線や空気に触れて酸化した油は、肌を刺激して、吹き出物や肌荒れ、シミの原因となる。
そこで今注目を集めている油が、人間の肌にもともと含まれている「スクワラン」。
スクワランは浸透力が高く、肌の奥深くまですばやく到達して、ターンオーバーを正常な状態に導く。また、「お肌の柔軟剤」としてのはたらきがあり、乾燥や日焼けによって厚くなった角質を柔らかくして、ゴワつきや小じわができにくい肌に保ってくれる。
スクワランはもともと酸化に強いが、純度が高いほど、空気や紫外線に触れても、酸化や油焼けの心配がない。つまり、紫外線が多いこれからの季節でも安心して使えるということだ。一般に、純度99.9%まで高精製したスクワランは15mlで1500円前後。やや割高感はあるが、1回1滴で充分(15mlで約180回分)なことを考えれば、コストパフォーマンスは優秀といえるだろう。
■ガサガサかかとや、赤ちゃんにも使えるちょいテク
「スクワラン」というと化粧品メーカーのハーバーが老舗で、“女性の肌美容”という印象を持つ人も多いが、純度の高いスクワランは、肌質を問わず、敏感肌でも、赤ちゃんやお年寄りでも安心して使えるアイテム。
顔のお手入れのほかに、こんな全身ケアにも使えるのだ。
・ひじ、ひざ、かかとケア
お風呂上がりに、ガチガチになった部分にスクワランをまんべんなくなじませると、皮膚が柔らかくなり、角質の硬化を防げる。かかとは軽石などで優しくこすってからケアすると、さらに効果的。
・ベビーマッサージ
手のひらにスクワランを数滴つけ、赤ちゃんのおへその周りを「のの字」を描くようにマッサージ。スクワランが赤ちゃんの肌を保護し、代謝を高める。
・ヘアケア
ブラッシング後、スクワラン少量を頭皮につけると。乾燥によるフケを抑えて地肌を健やかに。ごく少量を手のひらに薄くのばして毛先にもみこむと、ツヤが出て、さらっと仕上がる。
朝晩の1滴で肌のアンチエイジングができるだけでなく、家族みんなの全身ケアもできるスクワランで、この夏から“給油”が美肌のキーワードのひとつだ。