6月2日の内閣不信任案採決の直前に開かれた民主党の代議士会で、菅直人首相は、「一定のメドがついた段階で、若い世代へ引き継ぎを果たす」という表現で辞意を表明した。
この「若い世代に引き継ぐ」というフレーズは、菅氏が過去の代表選の演説で何度も使ってきた常套句。
「菅は10年前からそういいながら、絶対に若い世代に主導権を渡そうとしなかった」(民主党ベテラン)
さすがに今回は年貢の納め時のようだが、それだけにその意図は、「たとえ辞任しても次の総理の座は、自分より年長である小沢一郎氏には絶対渡さない」という恨み節だったという見方も党内にある。
不信任案決議の趣旨説明では、その政治手法を大島理森・自民党副総裁に「脱小沢で求心力を維持してきた」と喝破された菅氏であるが、引き際でさえも自分の失政の責任を棚に上げて、数少ない“政策”である「脱小沢」にこだわっていたとすれば、もはや妄執と呼ぶのがふさわしい。
※週刊ポスト2011年6月17日号