現在、日本にある全52基の原発のなかで、福島第一原発の4基、政府の指示によって停止された浜岡原発の2基に加え、定期点検中で停止している原発を加えると、合計35基が運転を止めている。原発に対する厳しい世論が続く中、停止中の原発の運転がいつ再開されるのかいまもって定かではない。
来年以後も再開が延期されたまま、現在運転中の原発が次々と点検時期を迎え、停止されることになれば、電力不足はさらに深刻な事態に陥りかねないのだ。
だとすれば、私たちひとりひとりが、目の前の現実を乗り越えるために努力するほかない。
『近藤典子 Home&Life研究所』代表で、アメニティアドバイザーの近藤典子さんがいう。
「私は震災の前からずっと、暮らしの無駄をやめようと呼びかけてきました。“節約”というとなんとなくお金のために切り詰めるというイメージがありますが、そうではなく、楽しみながら無駄をなくしましょうと。知恵を使って生活の無駄を省いていくと、『暮らし力』が身につくんです」
例えば炊飯。炊飯器を使うのではなく、たまに土鍋や圧力釜を使って炊いてみる。すると、家中にご飯のいい匂いが漂い、グツグツと米が炊ける音もする。エアコンがなくても涼しさを演出する方法もある。水ですいかを冷やし、ガラスの器にビー玉を入れて置いてみる。
「日本人にしかわからない情緒で見た目に涼しくなりますよね。もちろん、昔の生活そのままに戻ることはできません。
でも、いまの時代に合う形で、機械任せにするのではなく、昔の知恵も取り入れて使う。それが暮らしを楽しむ方法です」(近藤さん)
参考になるのは、R40以後の世代なら誰もが子供のころに経験した、あの昭和のころの暮らしだろう。エアコンも電子レンジも、パソコンも携帯電話もなかったあの時代、それでも幸せに暮らしていた日々の思い出を、まずは子供たちに話してあげたい。
※女性セブン2011年6月16日号