大相撲の八百長問題で引退した元猛虎浪が、アントニオ猪木が会長を務めるプロレス団体「IGF」からプロレスデビューすることが決まった。
猪木の思惑を、ある相撲ジャーナリストが解説する。
「なぜ最初にプロレス入りが決まったのが猛虎浪だったのか、これがキーワードです。今回八百長で処分された力士25人のうち、猛虎浪を含めて6人がモンゴル出身。モンゴルでの相撲人気は相変わらずで、第二の白鵬、朝青龍を目指す若者がたくさんいる。
しかし、角界は外国人力士の隆盛に頭を悩ませており、外国人の入門を自粛する動きがあります。そこに目をつけ、力士になりたくてもなれないモンゴル人の若者をスカウトするための“先兵”として猛虎浪を勧誘したのではないか」
かつては国民的人気を誇ったプロレスも、今や低迷の一途。業界の景気は厳しく、多くの団体が次々と潰れている。屈強なモンゴルの若者をプロレスラーに育てる方が、給料面なども含めて安く上がるという皮算用もありそうだ。
前出の相撲ジャーナリストが語る。
「猪木会長は元横綱・朝青龍とも関係が深い。朝青龍の兄は新日本のマットにも上がっており、10年来の家族ぐるみでの付き合いです。国会議員に名乗りを上げている朝青龍とのパイプをさらに太くすれば、人材交流はもちろん、モンゴルでの興行などの可能性も広がる」
角界の次はプロレス界をモンゴル勢が席巻か。
※週刊ポスト2011年6月17日号