5月31日、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)は、「1日30分間、10年以上携帯電話で通話し続けると、脳のがんの一種である神経膠腫の発症率が1.4倍になる」と驚くべき発表をした。
今回の発表以前から、各国は日本以上に電磁波に対して敏感だった。米国では、使用者個人が携帯電話による健康被害を訴える訴訟も相次いでおり、2008年9月には議会で携帯電話の健康影響に関する公聴会も開かれた。英国は2005年にいちはやく子供の携帯使用を制限する勧告を出し、「8才以下は禁止、16才以下は緊急時以外は使用を控えるように」としている。
他にフィンランド、イスラエルなどでも子供の携帯使用を禁止あるいは制限するよう勧告。ロシアでは「妊婦や精神疾患を抱えた人も使用すべきでない」とし、1回の通話は3分以内に制限することなどを求めている。
一方日本では携帯電話の健康被害についての予防措置は講じられていないのが現状だが、携帯の電磁波から身を守るにはどうすればいいのか。携帯電磁波の人体影響』(集英社新書)の著者でジャーナリストの矢部武氏と電磁波環境研究所・荻野晃也所長は次のように提言する。
「イヤホンマイクの使用をすすめます。携帯電話を耳にぴったりつけて使うというのはいちばん危険」(荻野所長)
スピーカーフォン装置やイヤホンマイクを使えば、電磁波の強さを100分の1にすることも可能だという。
「左右交互に使う癖を身につけましょう」(荻野所長)
片方だけに当てるより、危険性は半分になるとのこと。また、電話をかけるときは、相手が出てから耳を当てるようにすれば、少しでも接触時間を短くできるという。さらにメールなら、体から携帯を離した状態で使うので、電磁波の吸収率が少なくてすむ。
通話しない状態でも、電源がオンなら携帯は電磁波を出し続けている。とくに胎児は影響を受けやすいので、妊娠中の女性が携帯を体に接するのは要注意だという。
「持ち歩くときに、ズボンや胸のポケットに携帯を入れないこと。また、寝るときには枕元に置かないよう注意してください」(矢部氏)
また、「携帯端末が基地局を探すために、より強い電波を出す」(矢部氏)という理由から、電波の弱い場所や移動中は通話を控えたほうがいいとのことだ。
※女性セブン2011年6月23日号