6月4日、皇太子殿下と雅子妃が宮城県山元町の被災地を訪れた。被災者にとって、雅子妃が「ご病気なのにわざわざ来てくださって、私たちを励ましてくれた」(60代女性)ことが、何より嬉しかったようだ。震災で息子を失ったという80歳の女性がいう。
「私が『息子に先立たれましたが、殿下、雅子さまにお会いできて嬉しゅうございます』というと、殿下から『頑張ってください』と温かいお言葉をいただきました。雅子さまはその横で黙って頷かれていましたが、その目には涙があふれていたようでした」
そして雅子妃は女性の手を握り、「どうぞ、お体を大切にしてください。頑張ってください」と声をかけられたという。
「その手はとても温かかったです」(80歳女性)
こうして多くの被災者に感動と勇気を与えたお二人のご訪問。しかし一方では、被災者が雅子妃の病状を心配し「ご病気はいかがですか?」「愛子さまはどうですか?」と質問する場面も数多く見られた。山下小の体育館に避難している40代女性は、雅子妃の様子に、つい「どうぞお体を大切になさってください」と声をかけてしまったという。
「まだご病気であることは報道で知っていましたし、私たちも見ていて“大丈夫なのかな、お辛いのではないかな”と思えたんです。雅子さまのお声が蚊の鳴くような小さな声で、全く聞こえなかったもので……」
78歳女性は、雅子妃に謝意を表わしたうえでこう尋ねたという。「雅子さま、お体大丈夫ですか? そして愛子さまも大丈夫ですか?」
雅子妃が「はい、私も愛子も大丈夫です。ありがとうございます」と答えると、女性が続けた。「ぜひともお元気になってください。そして二人のお母さんを大切になさってください」。女性曰く、「二人のお母さん」とは、美智子皇后と実母の小和田優美子さんのことだそうだ。
※週刊ポスト2011年6月24日号