国内

有働アナは60年代モーレツおじさん 脇汗支持オンナは肉食系

 NHK有働由美子アナの脇汗ジミ問題。「恥ずかしい」から「働く女の誇り」まで、議論百出だが、作家で五感生活研究所の山下柚実氏は、「私はごめんです」と、きっぱり。以下、脇汗支持女性について、山下氏が分析する。

 * * *
 朝の情報番組『あさイチ』で、有働アナの“脇の汗ジミ”が何度も映し出されることに、視聴者から苦情が。有働アナは「あまり恥ずかしい思いがなかったんですが、これから気をつけま~す! すみません!」とあっけらかんとコメント。この対応に好感度がアップしたとか。「“有働さんめげずにがんばれ”“ワキ汗は働く女の誇りである”といった応援の内容がほとんどでした」(NHK広報・高木千佳子さん 「女性セブン」6月16日号)。

 個人的な意見としては、他人の汗ジミを、爽やかな朝にテレビ画面で見せつけられるのは、私はごめんです。

 有働アナの身繕いに対する頓着のなさ、そんな彼女を「働く女の誇りだ」と評価する声に、1960年代の高度経済成長期、「忙しいことはよいことだ」と身なりも顧みず仕事に邁進していたモーレツおじさんの暑苦しい姿を重ねてしまうのは、私だけでしょうか?
   
「汗」の価値は、社会の中で常に変化しています。経済成長のただ中の日本では、「男の汗」は労働と努力の象徴であり、肯定的な意味あいを持っていました。また、政治家が「汗を流す」といえば、「自分をなげうってとことん奉仕する」という意味でした。

 しかし、今や「男の汗」なんて、鼻をつまむ対象として敬遠されこそすれ、肯定的な意味で語られることは皆無に近いと言えるでしょう。草食系男子が求められる今の時代に、一人ダラダラ汗なぞかいていれば、「男性用汗拭きシート」を手渡されてしまうのが関の山。

 それと180度好対照をなすように、有働アナの汗が、女たちから「労働の対価」として評価される。そのあたりに、時代がくっきりと映し出されています。肉食系女子の時代が。

 以前と比べて、男と同じようにモーレツに働く女の数が増えました。仕事に邁進するあまり、汗ジミを作っていることにすら思い至らない――そんな労働スタイルが、女たちの間で認知され、許容されるようになった、ということです。

 もう一つ、これは有働アナに特徴的だと思いますが、「私が」「私が」といって強烈に自己主張することで場を支配する。そんな女が、社会に広く受け入れられるようになった、ということでしょう。言葉だけでなく表情、汗、涙と、あらゆる生理的なものに自己主張が滲み出ている。

「番組を自分色に染め上げたい」「相手を制したい」という暗黙のメッセージが、動物的闘争本能のように、ほと走っている。たしかに動物は、縄張りをマーキングする時に、生理的な匂いや体液を駆使しますよね。

 それとどこか似ているふるまい。だからこそ、本人は汗ジミを指摘されても、ちっとも悪びれることがないのでは。

 そうした「野性的なアピール」に辟易とする人もいますが、共感する女も増えてきた。まさしく肉食系女子の時代。中には、自分が職場で果たせなかった「権力」による制覇の夢を、有働アナの姿に投影し、密かに応援している女性もいるかもしれません。

 原則に立ち戻れば、脇の汗ジミなんて個人的な、いわば親しい友人の間でのみ許容されるもの。NHKの番組は、数千万という多種多様な人が見る「公共放送」の場。不快に感じる人も確実にいるとすれば、求められることはただ一つ。視聴者から指摘される前に「汗ジミにならない衣装をつける」という他者への配慮だけです。

 公共とは「ニュートラル」な場。汗の匂いが立ちのぼる「ニュートラル」なんて、あり得ない。「ニュートラル」には、「無色」という意味もあるのですから。



関連キーワード

関連記事

トピックス

二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
福地紘人容疑者(共同通信社)
《“闇バイト”連続強盗》「処世術やカリスマ性」でトップ1%の “エリート模範囚” に…元服役囚が明かす指示役・福地紘人容疑者(26)の服役少年時代「タイマン張ったら死んじゃった」
NEWSポストセブン
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン