総務省がまとめた「地デジ視聴に必要な受信環境整備の状況」によると、4月末時点でアンテナ未設置世帯は77万世帯とされる。しかし、この数字はかなり過少に見積もられている。
2005年の国勢調査における日本の一般世帯数4900万世帯のうち、アンテナを立てて地上デジタル放送波を受信する直接受信世帯数は2300万世帯(その他はケーブルで受信)。日本の住宅に占める戸建て住宅と集合住宅の比率(52対48)から、直接受信世帯の中で戸建て住宅の数は1200万世帯と計算できる。
マンションやアパートなどは1棟に1本アンテナが立てばいいので、全棟数214万棟からケーブル加入住宅を除いた約100万棟、すなわち100万本が必要なアンテナ数となる。合計すると、日本には計1300万本のアンテナがあるが、その内、取り替え工事が必要なVHFアンテナは約104万本だ(残りはもともとUHFアンテナだった世帯)。
一方で、電子情報技術産業協会が公表しているUHFアンテナの累計出荷本数などから推計すると、2004年から現在までに出荷されたアンテナの中でVHFからUHFへの買い換え用だったのは860万本。つまり、今から工事が必要な世帯は1040万世帯から860万を引いた180万世帯だと考えられる。
アンテナ設置業者は全国に4万社程度で、全社が1日1件の工事をフル稼働したとしても残り40日で処理できる工事数は約160万件。かなり少なく見積もってもアナログ波停止までに約20万世帯がアンテナ工事を済ませられないのだ。
※週刊ポスト2011年6月24日号