株式市場で物色対象となるテーマは時代とともに移り変わるが、いま現在、大きなテーマとして注目されているのが、「スマートフォン」関連だ。フィスコ編集部長の中村孝也氏が解説する。
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高機能携帯電話「スマートフォン」(以下、スマホ)の全世界での出荷台数は、2010年10~12月期には1億台を超え、同期間のパソコンの全世界出荷台数を上回ったといわれる。さらに、出荷ベースで、2010年は携帯電話市場の2割だったスマホが、2015年には5割まで増える見通しだという。
これに伴い、2015年には、ハードとコンテンツなどのソフトを合わせたスマホ関連市場は30兆円規模まで成長が見込まれている。既に日本国内でも、従来型の携帯電話からスマホへの買い替えが急速に進んでいる。
その急速な需要拡大に乗り遅れまいと、ハードメーカー、ソフトメーカーを問わず、スマホ市場への参入が加速している。スマホ特需を当て込むには、とにかく開発に金がかかっても、一度は市場参入にチャレンジするしかないとの思惑も働くなど、今年はスマホ関連サービスが大きく立ち上がる元年となるのは間違いない。
昨年までは、業績の低迷に苦しんでいた企業が、もう失うものはないと捨て身でスマホ関連事業に参入。それが起死回生の一打となって、一気に黒字化を果たし、株価が急騰するケースも多く見られた。しかし、今後は、スマホへの対応が早く進み、足下の業績が好調で、今後も利益面での伸びが予想されるところが主な物色対象となってくるだろう。特に、スマホ関連事業が寄与して業績回復が顕著となり、その後も好業績の継続が予測できる銘柄は株価急騰の期待が大きいと思える。
スマホの新規需要の盛り上がりで、真っ先に恩恵を受けるのは、ハードの製造系や販売系の企業だろう。従来型の携帯電話向けソフトはスマホでそのまま使えないので、ソフト系の企業が恩恵を受けるには、スマホ向けコンテンツへの切り替えが進むまでのタイムラグが考えられる。
既に若い世代では、スマホへの移行が進み始めているが、それに歩調を合わせるように、従来型の携帯電話向け公式コンテンツは解約が進んでいるという。一方、先手を打って、その切り替えをうまく進めている企業は、既にスマホ特需で業績を伸ばしている。ソフト系の企業で特需を受けられるのは、そうした切り替えの取り組みをうまく行なえる企業に限定されてくるだろう。
※マネーポスト2011年7月号