地デジ化を7月24日に控え、総務省が行なう低所得者層支援の「無料地デジ化サービス」は、どうあがいても工事が間に合わない状況にある。同サービスは2009年10月に始まった、生活保護世帯を含むNHK受信料免除世帯に対して行なわれているチューナーおよびアンテナ工事の無償支援だ。
希望者は「総務省地デジチューナー支援実施センター」に申し込む。その際、工事の内容や希望日を相談し、折り合いがつけばセンターが業者に連絡を取り、アンテナ設置も含めた工事の予約を代行してくれるシステムだ。都内に住む60代の生活保護受給者がいう。
「5月末に申し込んだら、『5月20日以降の申し込みは、移行日までにチューナーが届かないと考えてほしい』と、アンテナ工事どころかチューナーの発送だけでも2か月近くかかるといわれた。もう7月末からテレビはしばらく見られないと諦めています」
同支援制度の対象は約260万世帯が想定されており、4月末現在までの申し込み件数は112万世帯。工事完了世帯はいまだ97万世帯(4月末)に過ぎず、160万世帯が間に合わないと考えられる。
※週刊ポスト2011年6月24日号