アナログ放送の停波まで、あと1か月あまり(一部地域除く)。デジタルテレビの世帯普及率は総務省が3月に発表した数字によるとすでに95%を超え、各社は2台目、3台目需要を狙おうと、小型テレビが続々と投入されている。
その中で異彩を放っているのが、シャープの『フリースタイルAQUOS』だ。4月の発表と同時に、「いつから発売するのか」「価格はいくらになるのか」と、問い合わせが殺到。近年例を見ない注目度なのである。
このモデルの生みの親、シャープAVシステム事業本部NB推進部副参事・村松佳浩氏が取材現場に持ち込んできたのは20型。テレビの上に付いているハンドルを軽々しく持ち上げ、室内の壁のフックにかけた。
テレビには電源コードもアンテナ線も接続されていない。だが、電源を入れると、地上デジタル放送の美しい映像が映し出された。テレビに電源コードやアンテナ線が必要なのは従来の「常識」で、その存在を誰も疑うことはなかった。しかし、このテレビは電源コードもなければアンテナ線もない。
夢のワイヤレステレビなのだ。いったいどうやって映像が映るのか?
「テレビ本体とは別になっているチューナーボックスと無線で接続。30メートル以内であれば、どこでも受信できる仕組みです。本体にはバッテリーが内蔵されており、無線のまま、約2時間視聴が可能です」
つまり、テレビ本体を部屋から部屋へ持ちだすことが可能。アンテナの出力端子がない部屋でも、自在にテレビを楽しめるのだ。
※週刊ポスト2011年6月24日号