格安航空会社(LCC)への注目が高まっているが、海外のLCCは、都市に近いメインの空港より、着陸料等の安い郊外のローカル空港に発着することが多い。都市へ移動するのに時間がかかったり、タクシー料金などの交通費が思った以上にかかることがある。事前にわかっていればまだいいが、突然、着陸する空港が変更されることまである。
「LCCは燃料節約のため、本来着陸する空港が混雑していると、上空待機をせずに近隣の空港に着陸したりする。その場合でも移動の交通費や、宿泊する場合のホテル代は自己負担です」(格安航空券販売ラジカルボイス社長のカワベヒロカツ氏)
到着が遅れて乗り継ぎ便に間に合わなかったときも、LCCでは代わりの便の手配もチケット代の補償もしない場合が多い。予想外の出費を強いられるケースもあるのだ。旅行代理店がLCCを使って安いパッケージツアーを企画すれば安心して利用できるのだが、現実には難しいという。日本旅行広報部はこういう。
「フライトがキャンセルされた場合や別の空港に着陸した場合、別の航空便の手配やホテルの手配をしなければならず、対応できないとツアーを履行できなくなる。ツアーに馴染まない面があり、現状はまだ様子見の段階です」
既存航空会社や旅行代理店の手厚いサービスに馴れた日本人には、LCCは少々敷居が高いようだ。
「初めての海外旅行や高齢者の旅行には向きません。LCCは、旅にはハプニングがつきもので、それを解決して楽しむ余裕のある人が利用するものだと思います」(カワベ氏)
旅慣れた人にとっては“安い足”になることは間違いない。割高といわれてきた日本の航空業界にとって、起爆剤となることを期待したい。
※週刊ポスト2011年6月24日号