福島第一原発の事故処理は、それ自体が、“巨大ビジネス”になろうしている。誰がどのように動き始めているのか、ジャーナリストの伊藤博敏氏がレポートする。
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原発の事故処理にいち早く反応したのはゼネコンだった。なかでも大成建設は、東京電力からの要請を受けて、震災直後に130人を福島第一へ送り込んだ。がれき処理を中心とした復旧作業にあたっている。
その後、他のゼネコンも続き、無線遠隔操作の重機なども使いながら事故対策に奔走。マリコン(海上土木業者)も、港湾の補修、汚染水の海洋流出に対応している。
とはいえ、「怖がって作業員が集まらない」という現実の前で、怪しい影も見え隠れする。激しいピンハネの末に、作業員を集めてくるのは暴力団系派遣会社、というケースがある。
また、暴力団系業者のなかには、混乱に乗じて被災地の土建会社を資金力で企業買収し、チェック体制が緩んでいるのをいいことに、東電からの特命発注、随意契約で儲けを目論むところもある。
事故処理のための、「なんでもあり」の総力戦は今後も続くが、東電がカネを吐き出していくのはこれからだ。
事故後、三井住友銀行などメガバンクから2兆円を調達、当面の費用はそれで賄ったが、これから「汚染水処理」と1号機から4号機の「廃炉」へ向けた作業が始まる。費用は数兆円単位とも言われる。
普通なら倒産だが、原発賠償機構を設立のうえ、政府が交付国債で資金繰りを支えることになった。
※SAPIO 2011年6月29日号