大震災の復興へと向かわなければならないこの国で、政治のリーダーシップが全く見えてこない。その危機的状況を、ジャーナリストの落合信彦氏が解説する。
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国家国民の利益よりも、我が身のかわいさを優先する政治家が多すぎる。
自らの「言葉」や「決断」を、簡単に翻す。不信任案を可決されそうになると「一定のめどがついたら」などとその場しのぎで退陣をほのめかし、否決した途端に笑顔で政権に居座ろうとした菅直人。
「党を割ってでも不信任案に賛成する」としながら直前で欠席に逃げた小沢一郎。鳩山にいたっては、ペテン師がペテン師に騙される始末。責任を取ることができない人間は、指導者になることなどできない。
政治家だけではない。福島第一原発の事故を巡っては、東京電力や原発推進を支持してきた学者、マスコミ、さらに言えば民主党の「バラ撒き公約」という甘言を選挙の時に疑いもしなかった国民――この国の惨状はまさに「無責任国家」と評するに相応しい。
※SAPIO 2011年6月29日号