片づけられるようになりたいという女性たちから絶大な支持を得ているのが、これまで数百人に片づけの個人レッスンを行ってきた「片づけコンサルタント」の近藤麻理恵さん(26)だ。
“片づけのカリスマ”である彼女の手にかかれば、足の踏み場もないほど散らかった部屋が、ホテルのスイートルームのように整然とした心地よい空間に生まれ変わる。人気はうなぎ上りで、初の著書『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)は40万部のベストセラーになり、レッスンの予約は3か月先まで埋まっている。
もともと主婦志望だったという近藤さんに、転機が訪れたのは中学3年生のとき。当時ベストセラーとなった辰巳渚さんの『「捨てる!」技術』(宝島社新書)を読んで、衝撃を受けた。同書では家が片づかないのは、日本人の“美徳”とされてきた「モノを大切にする」という意識がいきすぎてモノが捨てられないからだと説き、捨てるための考え方やテクニックを紹介する。近藤さんはこの本と出合い、「捨てる」ことの大切さに目覚めたという。
以降は片づけのノウハウに関するあらゆる本を読破し、“片づけ実習”を行った。自分の部屋だけでは満足できず、自宅のキッチンやリビング、兄や妹の部屋まで片づけのエリアを拡大していった。
「ついには友達の家も手がけるようになり、今日は自分の部屋、翌日は兄と妹の部屋、3日目は友達の家、4日目は別の友達…とやっていって、15日周期で片づけて。でも1周回って自分の部屋に戻るとまた散らかっている…。取りつかれたように一心不乱に片づけていましたね」(近藤さん)
近藤さんは当時の自分を“ノイローゼ気味だった”と振り返るが、片づけに熱中するあまり、家族のモノにまで手をつけた。自宅のウオークインクローゼットに家族の服や漫画が放置されていることに耐え切れず、こっそりと捨て続けたのだ。やがて一家の知るところとなり、囂々たる非難のうえ「片づけ禁止令」がいい渡された。
近藤さんはそれでもめげず片づけに没頭した。
大学在学中から片づけに関するコンサルティングを始め、友人・知人に片づけのノウハウを伝授した。卒論は「ジェンダーの視点からみた片づけ」。卒業後は大手人材派遣会社で働きながら、営業先の社長の机を片っ端から片づけた。これが思わぬ評判を呼んで片づけの依頼が殺到。さまざまなオフィスの片づけの相談に乗った後、2年前に会社を退社して、コンサルタントとして独立した。
現在は女性限定のレッスンを行う。最初にヒアリングでカウンセリングを行って状況を把握し、次回から1回5時間に及ぶ現場レッスンに臨む。
※女性セブン2011年6月30日号