気象庁発表の2011年梅雨明け速報値によると、6月9日沖縄が平年より2週間早く梅雨明けした。7月半ばから末までに、日本中に本格的な夏が到来する。記録的な猛暑となった昨夏を思い起こして、「暑いキッチンで料理するのは、うんざり……」と思う人も多いだろう。
そこでこの夏オススメなのが「冷やし茶漬け」。手軽で簡単なだけでなく、このメニューには、女性にうれしいポイント満載なのだ。
■太りにくく、お通じを改善する「冷やご飯」
ご飯を炊くと、米に含まれるでんぷんは、消化しやすくなり、甘みが出る。しかし、ご飯が冷える時に、消化されにくい「レジスタントスターチ」という成分がつくられるという。この効果を利用できるレシピが「冷やし茶漬け」。消化に時間がかかると、血糖値の上がり方がゆるやかになり、インスリンというホルモンの分泌量が少なくなる。
インスリンには、脂肪細胞の中で、余分な糖を脂肪に作り変えたり、すでに蓄積された脂肪が分解されるのを防いだりするはたらきがある。つまり、インスリンの量を減らすことで、「体が脂肪を蓄積しようとするはたらきが抑えられ、太りにくくなる」ということなのだ。消化しにくいでんぷんには、食物繊維に似た効果があり、お通じの改善や、大腸がんの予防につながる。これだけメリットがあるなら、暑い夏にわざわざご飯を温め直して食べるのはもったいない。
一般に、食品を冷凍する時は急速冷凍した方が良いというが、より太りにくい冷やご飯にしたい時は別。ゆっくり冷ました方が、消化しにくいでんぷんが増えるので、炊いたご飯は常温まで冷ましてから冷蔵庫で保存。冷蔵庫内の温度も上がらないので、他の食品も傷めず、節電にもつながる。
■簡単、おいしい! 冷やし茶漬けレシピ
これからの季節にオススメの「冷やし茶漬け」レシピを、料理研究家の堤人美さんに聞いた。
「冷やし茶漬けといっても、お茶だけでなく、冷たい鶏ガラスープや豆乳を使えば、バリエーションが広がります。野菜や豆腐を加えれば、栄養バランスのいいメニューになりますよ。
暑くて食欲がなくても、冷やし茶漬けならサラサラ食べられますし、水分とミネラルを補給できるので、熱中症対策にもなります」(堤さん)
メニューはすべて1ぜん分。ご飯は流水でさっと洗い、水気を切ってから使う(全レシピ共通)。
「たたききゅうりの冷やし茶漬け」(写真)
【1】きゅうり1/2本に塩適量をまぶし、まな板の上でころがして、すりこぎなどで叩き、食べやすい大きさに割る。
【2】ご飯に【1】、塩昆布小さじ1/2、あればちぎった梅干し1/2個をのせ、冷たい緑茶1カップをかけ、粉山椒を振る。
<ポイント>
きゅうりはカリウムが豊富で、むくみをとる効果が。やや多めの塩をまぶすと、しっかり味がつく。好みで氷を浮かべてもいい。
「豆腐と豆乳の冷やし茶漬け」
【1】豆乳、水各1/2カップ、しょうゆ小さじ1/2、昆布茶小さじ1/3を合わせておく。
【2】木綿豆腐1/4丁、しそ2枚、梅干し1/2個を食べやすい大きさにちぎってご飯にのせ、【1】をかける。
<ポイント>
レモン汁やラー油、すりごまをかけると、味の変化を楽しめます。梅干しの代わりにじゃこやザーサイをのせるのもオススメ。
「ツナとしば漬けの冷やし茶漬け」
【1】梅昆布茶小さじ1/3を水1カップで溶く。
【2】ほぐしたツナ50g、しば漬け大さじ1をご飯にのせ、【1】をかけて、刻んだ万能ねぎ適量を散らす。
<ポイント>
梅昆布茶がなければ、市販のお茶漬けの素+梅干しでもOK。
節電テクニックでも「ご飯は炊飯器で保温するより、電子レンジでチン! が正解」(保温時間4時間以上の場合/省エネルギーセンター)だが、電子レンジだけでなくガスも使わず、調理器具もほとんどいらない冷やし茶漬けは、優秀な節電&節約メニュー。簡単でバリエーションも多く、ダイエットやメタボにも効果的となれば、夏の定番レシピとして注目が集まりそうだ。