「仮設住宅の建設を急げ」という声が上がる一方、福島県では仮設住宅の入居率が5月末段階で約40%にとどまっている。これはどういうことなのか?
仮設住宅の場合、入居と同時に被災者は「避難者」ではなくなってしまう。
「避難所なら食費として1日1500円まで県に請求ができます。避難者の実質的な出費はコインランドリーでの洗濯代や各自が購入する副食程度です。しかし、仮設住宅に入居すると生活費は入居者の自己負担です」(楢葉町災害対策本部)
生活基盤を失った被災者が、可能な限り出費を抑えたいと考えるのは当然だ。福島県の仮設住宅入居率が5月末段階で約40%にとどまっているのは、「雑魚寝でプライバシーが守れない状況でも無料で救援物資を得られるから」(同前)である。
バカの一つ覚えのように「仮設住宅を早く作ります」と繰り返す総理大臣にはわからない現実だ。
※週刊ポスト2011年7月1日号