国内

江口愛実に「この顔こそが1000年を超える日本の伝統美」説出る

AKB48「江口愛実」のCG合成キャラという正体が明らかになり、「やっぱり」「どおりで不自然な顔」などと話題沸騰だが、作家で五感生活研究所の山下柚実氏は、この顔こそが、清少納言も認めた1000年を超える日本の伝統美なのだという。以下は、山下氏の解説である。

* * *
「総選挙」で日本中の話題を独占したAKB48 。かと思ったら、今度は、電撃デビューした新人「江口愛実」に話題殺到--そして噂通り、「江口愛実」の正体は、6人の顔のパーツを組み合わせたCG合成キャラ。ここまでは誰もが知ることになった事実です。

これほどメディアを制覇したアイドルグループは、過去にもいなかったと思います。

ではなぜ、AKB48の動向にいちいち日本人が反応してしまうのでしょうか。そこには、単なる「流行」現象を超えた秘密が潜んでいる、とは言えないでしょうか。

総合プロデューサーの秋元康氏が「自覚」しているかどうかは別にして、AKB48に日本の伝統文化を作り上げてきた日本的感性のDNAが見て取れるのではないか、と私は思います。

たとえば、日本文化においては「アワセ・ソロイ・キソイ」という方法が大切にされてきました。「『アワセ』(合わせ)は二つのものを合わせること、『ソロイ』(揃い)は合わせたものを揃えていくことをあらわします。さらにそこに比較がおこると『キソイ』(競い)になります。日本はこのアワセ・ソロイ・キソイをすこぶる重視してきました」(松岡正剛『神仏たちの秘密』)。不揃いのものを、あわせて、競わせて、そろえていく。これが「歌合わせ」や「連歌」「能」「歌舞伎」「浮世絵」など、日本の伝統文化や様式美を特徴づけるエッセンスでもありました。

AKB48のメンバーを見ると、一人一人は不揃いで不完全かもしれない。その不揃いなメンバーから、目や鼻や口をピックアップして完成させた合成キャラ「江口愛実」。まさしく「アワセ・ソロイ・キソイ」という日本的方法のDNAが、「江口愛実」の作られ方に生かされています。

先日の「総選挙」の大反響も、同様に読み解くことができます。多くのメンバーが「ソロイ」、選挙という形で「キソイ」あわせた。同時に、「小さきものはみな美しき」という清少納言の言葉どおり、未成熟で不完全なものに惹かれる日本的感性を揺り動したところに、AKB48の成功はあるのでしょう。

すでに完成され成熟したプロ的歌手では「ない」からこそ、「自分の手で育てあげたい」というファン心理に火がつき、100万もの票が投票される結果になったのではないでしょうか。

目の前に見えているアイドルの背後に、1000年を超える伝統的な日本人の感性と独特の手法が横たわっていたとしたら。意識していないところで、そうした感性のDNAに人々がつき動かされているとすれば――。「江口愛実」は正真正銘の日本伝統美なのです。


関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン