まったくもってどいつもこいつも特徴的過ぎて、こいつらのサイドストーリーやスピンオフ作品を観たくなったのが、6月24日から公開されるスティーブン・スピルバーグ製作映画『SUPER8/スーパーエイト』である。
メインキャラのジョー、アリス、ジャクソン(父親)はさておき、脇役の面々が素敵過ぎるがゆえ、彼らにことごとく「大麻エロバカ」「正直過ぎるジコチューデブ」「ゾンビ火薬バカ」「ゲロ男」「逃げ出しモジャ男」「陰謀おばさん」「保守的のんきデブおまわりさん」「中途半端エロ女」などとあだ名をつけられる作品はなかなか珍しい。
当初の触れ込みでは『E.T.』の再来か! といったものはあったものの、『スーパーエイト』はむしろ人間同士の絆を描いたもので、登場するモンスターは監督のJ.J.エイブラムスがいうように、「この作品のモンスターはメタファーなんだ。主人公ジョーの葛藤や痛みを象徴しているんだ」ということなのだろう。
というわけなので、全員が妙に特徴的過ぎてどいつのことも好きになってしまうであろう(※ただし軍関係者は除く)同作には、スピルバーグのSF的演出(『未知との遭遇』や『E.T.』)やアクション(『インディ・ジョーンズ』)を過度に期待しないほうがいい。
むしろ、登場人物全員の発言や行動・心の動きに注目し、「あだ名づけの名人」・有吉弘行になったかのごとく、「あだなをつけるプレイ」をすることでより楽しめることだろう。
あと、オレとしては個人的にはかつて米国・イリノイ州の田舎に住んでいた経験があるだけに、オハイオ州の小さな街を舞台にした設定はノスタルジープンプンだった。貧乏人の住むエリアと金持ちの住むエリアが明確に分かれ、ガキどもはお菓子を投げ合ってはバカふざけをする。美人と評判の女子には街中の男どもがゾッコンになって、“I like her” “She likes you”なんてことばが飛び交う(アメリカ人は別に「Love」ばっか言ってるわけじゃないからな)。そんな郷愁の念も思い起こさせてくれる作品でした。
ただ、モンスター、お前! もっと………。(以下略)
文/中川淳一郎(ネットニュース編集者)
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【公開情報】
『SUPER 8/スーパーエイト』/6月24日(金)よりTOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー/http://www.super8-movie.jp//