夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回はご主人(58歳)が衣料メーカー勤務の奥様(59歳)。長女が6月に結婚します。
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「彼って貯金の額が少ないから、私たち、激安婚にするね。『初任給で結婚式』がキャッチコピーの挙式プラン会社もあるの」去年の暮、娘からそう告げられ、私も主人も同意しました。
ところが、今年4月29日のウィリアム王子とキャサリン妃の挙式パレードをテレビで見た主人が「ロイヤル婚に感動した! 我が娘の晴れ舞台がみすぼらしいのは大反対だ」といい出したんです。
「母親として今まで溜めこんだへそくりを全部出してやれ」って、あのねェ、アナタの安月給で、へそくりなんか貯まってるわけないでしょ!
「娘たちが『地味婚で』っていってるんだから、それでいいじゃないの」「違う! 本当は豪華にやりたいけど、相手が貧乏だから我慢しているんだよ。娘が不憫だ……そうだ! この結婚は破談にして、金持ちの男を探そう」何をいい出すのかしら、この宿六は!
娘は怒り心頭で「私たちのことは私たちでやるから放っといて!」。主人はというと、挙式目前だというのに、私に男性の写真を見せ、「取引先の社員なんだけど、実家が四国の山持ちらしいんだ。この男と結婚すれば、式も豪華だと思う。オレは娘の激安婚なんか、出たくないんだよ」。
大丈夫! 娘は呆れかえって「別に、お父さんには結婚式に出てもらわなくてもいい」っていってますから!
※週刊ポスト2011年7月1日号