テレビや新聞でお馴染みのファイナンシャル・プランナーの花輪陽子氏のもとには、震災後、「もしもの時に備えるためには、どのように家計を見直せばいいか」という相談が相次いでいる。自身もFP資格を取得する前のOL時代、ショッピングに夢中になって「借金200万円」という“地獄”を味わった花輪氏は、「ムダ遣いをやめることはもちろん、大きな支出をカットすることで、家計は劇的に改善した」と非常時への備えをアドバイスする。
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もし夫が亡くなってしまったら、会社から退職金が出ます。また、持ち家であれば団体信用生命保険(団信)で、住宅ローンも相殺されます。 さらに、多くの方があまりきちんと調べたことがないのが、「遺族年金」です。
この遺族年金は、“非常時”には、強い味方になります。 2人の子供がいる45歳の平均的サラリーマンの夫が不幸にして亡くなった場合、42歳の妻には、最初の子供が18歳になるまでは年額約185万円(月額約15万円)が支給されます。
さらに、子供が2人とも18歳になったあとでも、妻は年額約119万円(月額約10万円)がもらえます。妻が少しでも働いていけば、十分とは言えませんが、生活はできる額です(ただし、「遺族厚生年金」の額は、夫の賃金水準によって変わります)。
この遺族年金を考慮に入れれば、保険によってカバーする部分を減らすことが可能なケースは多いのです。実例をもとに見ていきましょう。
東京都内に住む50歳のサラリーマンの方のケースです。 これまでは、多くの特約がついた保険に加入し、夫婦合計で1か月に4万7000円もの保険料を払っていました。
特に高かったのは、夫の定期付終身保険です。死亡保障は合計3000万円。しかし、子供がもうすぐ大学を卒業することと、もしもの時には遺族年金がもらえることを考え、死亡保障を1000万円へと見直すことにしました。
また、今まで加入していた保険をすべて解約し、インターネットで申し込むことなどで保険料を安くしているライフネット生命の「かぞくへの保険」に変更することで、死亡保険だけではなく、医療保険でも保障内容を大幅に削ることなく保険料をカットできることがわかったのです。
注目していただきたいのは、妻の死亡保険です。死亡保障額は100万円から500万円へと手厚くなりましたが、保険料は700円しかアップしていません。
こうすることで、保険料は1か月で合計約2万1000円まで減らすことができました。実に、月2万6000円の節約です。60歳になるまでの10年間で考えれば、312万円もの「家計のスリム化」に成功したことになります。
※SAPIO 2011年6月29日号