7月24日に地デジ化完全移行となるが、3000万台超のアナログテレビは何処へ行くのか。首都圏の中古家電輸出業者が明かす。
「中古テレビの取り扱い数は、2008年から2010年にかけて3割以上増えました。わが社は主に日本と同じ受像方式のフィリピンやミャンマー、ペルーに輸出していますが、単価は300~400円程度で儲けは100円にも満たない。商売として旨みはないのですが、次々と持ち込まれるから捌くほかないという状態です」
そのため鉄や銅など金属部位だけを抜き取り、残りの部分は売れないために不法投棄する業者が目立ち始めた。これなら運賃などのコストをかけず、手軽に稼げるというわけだ。
そもそも「20インチより大きいテレビは海外での需要が少ない上に輸送コストもかかるので輸出されることなくゴミになる」(同前)とされる。
地デジ移行が近づくにつれて全国でテレビの不法投棄が急増している。これまでは人目につかない山林などに投棄されていたが、最近は場所を選ばなくなっている。
市街地での不法投棄急増が問題化しているのが名古屋市だ。市環境局の説明。
「いまや繁華街の歩道や資源ステーションに平気で不法投棄されています。今年に入り、ブラウン管テレビの不法投棄は急増しており、4~5月の2か月間だけで328台と、前年同期の1.6倍。回収したうえでリサイクル料を税金で支払っていますので、非常に頭の痛い問題です」
※週刊ポスト2011年7月1日号